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なぜ電子マネーは乱立したのか。『フェリカの真実』

 

フェリカの真実」

ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由。

 

この本はとても面白い。失敗系の伝記は読んだほうがいい。

失敗系の伝記を読んだ方がいい理由は同じ過ちを繰り返さないためである。

成功の原因は無数にあるが、失敗の原因は法則がある。

 

フェリカとは ※出所:ソニーのHP

 

駅の改札口でIC乗車券をタッチしたり、コンビニエンスストア電子マネーを利用したり。いまや、あちこちで見られるかざす便利をつくりだしたのが、ソニーの非接触ICカード技術方式「FeliCa」です。非接触だから、かざすだけで高速データ送受信。さらに、データは何度も書き換えられ、カード本体を再利用できるエコロジーなシステム。厳重なセキュリティーも実現し、公共交通機関の乗車券システムから、電子マネー、マンションの鍵まで幅広い用途で使われています。これからも、Felicity(至福)に由来する名前どおり、「FeliCa」は世の中をもっと便利に楽しく変えていきます。

 

フェリカの変遷(ざっくり)

 

フェリカは本書によると、

 

物流用のRFID

→入退室管理で販売するも電波干渉で撤退

→JR乗車券検討

ソニー大賀社長の「大切な技術を2年でやめるな」で延命

→香港で実装(オクトパスカード

→国際規格化に失敗

→なぜかエディ立ち上げ、でも仕様でエンジニアが抵抗電子マネー乱立の原因

ソニー出井社長はJRよりドコモ重視電子マネー乱立の原因

→ドコモとソニー合弁会社フェリカネットワークス」立ち上げ

 

という複雑な経緯で結局ソニーには大した利益をもたらさなかったようだ。

 

オクトパスカードについて

 

香港のオクトパスカードは、世界への非接触型ICカードの普及に大きな影響を与えることになった

そして、オクトパスカードは、日本で作られたFelicaフェリカ)方式のICカードを、世界で始めて実用化したのだ。

 

つまり、日本で最も利用されているFelicaフェリカ)方式は、日本で生まれて香港で実用化されて、その後に日本へ逆輸入されたものになる。

 

こうした香港のオクトパスカードの成功が、日本のFelicaフェリカ)方式を世界に広めることになった。

今回述べたように、Felicaフェリカ方式)のICカードは、日本で作られた後に香港で実用化されて、また日本に戻った。そのため、こうした香港のオクトパスカードについて知ることは、日本における電子マネーを学ぶために役立つことだといえる。

 

電子マネーの乱立について

 

電子マネーと言うからには、

現実の貨幣と同様どの店でも誰もが自由に使えなければおかしい。

あの店では使えるけどこの店では使えないではマネーとは到底言えない。

どうしてこんな事態を許すことになったのか。

 

同じ FeliCa のプラットフォームを使っている香港のオクトパスカードのケースと比べるとその違いはビジネスの導入の仕方にあることが分かる。

 

FeliCa の規格を採用した世界最初の非接触 IC カードは香港のオクトパスカードである。

運用会社のオクトパス社は非接触 IC カードの開発メーカーに対し採用にあたっての条件を提示したが、それはスペックに関するものではなかった。

 

オクトパス社が提供するサービス、例えば鉄道屋地下鉄などの交通機関が一枚のカードで利用できること、あるいは、決済に使う電子マネーも一種類であることなど、使い勝手に関するものであった。

 

有り体に言えば、このようなサービスを考えているのでそれ相応市非接触 IC カードが欲しいというものである。

サービス事業ビジネスモデルありきから始まったのがオクトパスカードなのである。

 

それに対し日本では物 FeliCa プラットフォームありきから始まっている。

オープンな FeliCa プラットフォームを使えば決済に便利な電子マネーカードを発行することができるので、それを自社のビジネスに役立てたいと考えた企業がそれぞれ独自の電子マネーを作ったというわけである。

まさに電子マネーの乱立は企業のエゴの産物なのである。

そしてそれを可能にしたのがソニーのオープンなプラットフォーム戦略だったというわけである。

 

◎読み間違えた戦略のつけ

 

電子マネーの乱立は、

まず「もの製品ありき」から始まるビジネスモデルの限界を象徴している。

 

日下部氏(Felica開発者)によれば FeliCa とは様々なサービスを入れる器に過ぎない。

その器を利用する際、決済のアプリである電子マネーだけは共通の基盤となるところにないと誰もサービスを提供しないのではないかと考えたという。

だから、電子マネーはどのサービス提供業者も使えるニュートラルなものでなければならなかった。

そのため日下部は共通領域を作りそこにエディを置くようにしたのである。

 

日下部氏の述懐。

「本来、共通領域に入る電子マネーは一つに絞るべきだったと思うんです。

 

だけども Edy ができて単独でビジネスを始めてしまいましたから、それを見て共通領域に電子マネーを乗せられるということが皆さんにわかってきたため各自(カード発行業者)が独自のブランド独自の方式で電子マネーをどんどん発行してしまったのです。

 

それで電子マネーが乱立したわけです。

エディは本来みんなサービス提供事業者が支えなければならなかったのですが単独になってしまったから支えようもなくなったんです 。

 

SONY でもグループ企業で協力していけば新しいビジネスが展開できたと思います。」